●バーゼル市の水道水フッ化物添加
 バーゼル市には,1962年から,水道水フッ化物添加が導入され,むし歯予防効果が認められている。
 スイスの連邦裁判所は,水道水フッ化物添加が合憲であり,正当な法的手続きを経て開始され,しかも公益性があり,個人の自由の制約が最小限にとどまっていると述べている。

●水道水フッ化物添加と食塩フッ化物添加の共存時代
 1962年当時スイスでは,すでにフッ化物添加された食塩が利用されており,1983年になると,バーゼル市だけを除く25の全ての県において,フッ化物添加された食塩の販売が認可された。フッ化物添加された食塩の市場占有率は,2000年には83%に達した。
 バーゼル市における水と食塩についてのフロリデーションの「共存」は90年代までは大した問題ではなかった。水道水フッ化物添加が導入されていたバーゼル市には,フッ化物添加された食塩が配送されないような配慮がなされていたのである。例えば,フッ化物調整食塩のラベルには「バーゼル市へ配送してはならない」と表記されていた。

●共存から転換へ
 ところが,1995年にスイスでは,食品に関する新たな連邦法が可決され,これ以上食塩の流通が規制されないことになった。「バーゼル市へ配送してはならない」というラベルの表記も,2000年には中止になった。さらに,バーゼル市民の多くが,バーゼル市の外にあるショッピングセンターに出かけて,フッ化物調整食塩を購入するようになった。
 スイスの隣国であるフランスでもドイツでもフッ化物調整食塩は利用されている。したがって,フッ化物調整食塩がバーゼル市に流入することを食い止めることができないようになってしまった。

 2003年4月9日,議会は,フッ化物添加された食塩が,県全体に拡がっているという事実を踏まえて,水道水フッ化物添加中止を可決した(73対23)。
 結果として,バーゼル市においては,全身応用としてのフッ化物添加が,水道水によるものから食塩によるものへと切り替わったのである。


参考:Swiss Academy of Medical Sciences, Commission for Fluoride and Iodine:Fluorida-tion in Basle, Switzerland:switch from water to salt as carrier for supplemental fluoride, July 2003


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