WHO口腔保健レポート(2003年)は、う蝕の発生と有病状況は、地域、専門職、個人の連携した行動

によって制御できることが出来ると記しました。最近、WHOから「公衆衛生における効果的なフッ化物の

利用」が出されたので、その水道水フロリデーションに関係あるところを紹介します。

そこでは、フッ化物は「う蝕減少の鍵となる要因」と表現されています。

1.う蝕の減少について、フッ化物が持つ3つの方法(Featherston,JD,Feijerskov O ら):

  ・エナメル質の修復(再石灰化)を促進する

  ・エナメル質の化学的な構造を改善する

  ・酸を産生する細菌の活動を減少させる

2.フッ化物応用の研究には100年の歴史がある

前 半 50 年:

 天然にあるおよび濃度調整された飲料水中フッ化物とう蝕/歯のフッ素症との関係

次 の 50 年:

 フッ化物配合歯磨剤およびフッ化物洗口など、水道水フロリデーションの公衆

衛生的な代替方法の開発と評価

ご く 最 近:

 システマティック・レビューによる水道水フロリデーションの再評価、フッ化物

摂取と骨折の評価、フッ化物配合歯磨剤とフッ化物洗口の再評価

(McDonagh,M, Demons L, Marinho V, Med.Res.Council ら)

3.システマティック・レビューの結論は、

  ・ 水道水フロリデーションは、う蝕のある人々の割合を15%まで減少させ、5-14歳の児童の平均

   う蝕歯数を2.3まで減少させる。

  ・ フッ化物配合歯磨剤とフッ化物洗口は、3年間の新たに発生するう蝕歯数をそれぞれ23%および

   24%減少させる。

  ・ 水道水フロリデーションは、フッ化物配合歯磨剤を単独で使用するよりも、それと組み合わせて

   用いた方が有益である。

  ・ 水道水フロリデーションには、健康に反するいかなる影響であろうとも、それと関連するという信頼

   すべき根拠はない。

  ・ 水道水フロリデーション(フッ化物濃度 1ppmの場合)は、非審美的な歯のフッ素症のリスクを13%

   増加させる*)というが、さらに分析してみると、天然にフッ化物が含まれている地域においては、

   そのリスクが高く、他方、フッ化物濃度が調整されている地域では、そのリスクは、かなり低いよう

   である。

 *) 歯のフッ素症のリスク増加は、米国のように、水道水フロリデーションが行われているのに加えて、

  歯磨剤や錠剤などからフッ化物が過剰に摂取される場合に起こるとされています。これに基づき米国

  では、年齢に応じて歯磨剤や錠剤など、適正な量のフッ化物を使うことが推薦されています。

   水道水フロリデーションのに関する利益の獲得とリスクの制御については、その科学的な根拠が十

  分集積されていますので、日本でも、水道水フロリデーションの公衆衛生的な代替方法にとどまらず、

  水道水フロリデーションそのものを導入する時期が来ているのではないでしょうか。       


参考:Sheila Jones,Brian A.Burt,Erik Petersen,& Michael  A.Lennon:The effective use of  

        fluorides in public health,Bulletin of the World Health Organization,83(9),670-676,2005.



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