弓 道
3. 現代弓道
〔施設・設備〕
弓道場は(1)射場(しゃじょう)、(2)的場(まとば)、(3)矢道(やみち)からなり、南北方向で北側に射場を置くこと(南向き)が望ましい。
(1)射場は射を行う施設である。天井は4メートル以上の高さで横方向の板張りとし、的面から28メートルの位置(射手の体中心)に射位を設ける。なお射場側には審判席、控え席、更衣室など付帯施設を設置する。
(2)(あずち)(的を立て、矢を受けるためにおがくずを混ぜた土や川砂を盛ったところ)に屋根をつけた施設を的場という。
(3)矢道は射場と的場の間をいう。芝生を張ることにより落ち着いた雰囲気が出る。
近的(きんてき)用の的は幅約10センチメートルの檜(ひのき)の薄板を直径36センチメートル(1尺2寸)に丸くして的枠をつくる。この的枠の表の絵には白三条、黒三条の同心円を描いた霞的(かすみまと)や、中心に黒い円を描いた星的(ほしまと)などがある。なお遠的(えんてき)用の的は通常直径100センチメートルの的紙を使用する。
〔競技法の概要〕
(1)競技には近的競技と遠的競技の2種目がある。近的競技は射距離28メートル(体中心から的面まで)とし、的は通常直径36センチメートルの霞的を使用する。的は的中心が地上27センチメートル(敷(あずちしき)と射場床面を同じ高さとする)、的面を5度傾斜させて設置する。また競技会によっては24センチメートル(8寸)の星的を使う場合もある。遠的競技は射距離60メートルで的中心が地上97センチメートル、傾斜角度15度とした的をスタンドに設置する。
(2)競技の種類には個人競技と団体競技(3名以上で構成)がある。
(3)使用する弓の長さは221センチメートル(7尺3寸)を基準とし、若干の長短(2寸伸=227センチメートル、3寸詰り=212センチメートル)が認められている。また握り部が全長の約3分の2下にある和弓であること、さらに矢やにも若干の規定がある。
(4)勝敗の決め方には的中制、採点制、得点制の3方法がある。的中制はあらかじめ決められた射数を行いその的中数によって決める方法で、これがもっとも一般的な方法である。なお個人競技で同中の場合射詰(いづ)め競射や遠近競射が採用されることがある。また団体競技の場合は再度一射または一手行射し、その総的中数で順位を決める。採点制は一定の射数を行い、これに対し審判員が採点し順位を決める方法である。現在では全日本選手権大会予選でこの方法が採用されている、称号段位審査もこの一種といえよう。得点制は色的の中心に近い部分に高得点を配し、決められた射数の総得点で順位を決める方法である。
(5)的中の判定は的表面主義とし、的中した矢が折れ根のほうが的内側にある場合、矢が当たって的が転びその矢が的についている場合、当たった矢が地面についている場合などは「当たり」、掃(は)き当たり(矢が地面を滑って当たる)の場合や矢が的面にある矢を射て跳ね返った場合などは「はずれ」と規定している。その他矢つがえ後の筈こぼれや打起し後に引直しした矢は無効となる。またいったん射位についた射手が無断で射位を離れたり、不必要な発声、助言を求めたり受けるなどの行為は禁止されている。
[ 執筆者:入江康平 ]
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