弓 道
3. 現代弓道
〔用 具〕
(1)弓道の弓
日本弓の材質は木や竹を組み合わせた弓が伝統的であるが、昭和40年代以降グラスファイバー材やカーボンファイバー材の弓がつくられるようになり、年を追うごとに改良が加えられ性能がよくなっており、若い射手の多くはこれを愛用している。
弓の長さは7尺3寸(221センチメートル)を基準として射手の矢束(やつか)の長短により2寸伸(227センチメートル)、3寸詰り(212センチメートル)などが使用される。弓の強さを表す方法としては古来から「○人張りの弓」とか、握り部上辺の弓の厚さを測定し「○分(ぶ)の弓」などということがあるが、今日ではばね秤(ばかり)を使用し、並寸の場合85センチメートル、伸寸の場合90センチメートル、引いたときの強さをさし、「○キログラムの弓」と表示するのが一般的である。 また弦を張った弓を側面からみた形状を張顔(はりがお)というが、日本弓はいずれの部分をみても同じ曲線をもたない五つの曲線で構成されており、握り部が全長の約3分の1下に位置している点に特徴がみられ、その形状の美しさと力学的に改良の余地のない優れた機能性は高く評価されている。 弦は古来より細い麻を撚(よ)り合わせてつくられ重さで表示する。また近年強力な合成繊維の弦が普及している。この弦は太さによって細・中・太の3種類がある。
(2)弓道の矢
矢は箆(の)(矢幹)、羽、矢尻(根)、筈から構成されている。箆は矢竹(真篠(ましの))という竹を使用し、さまざまな工程を経てつくる。最近ではジュラルミンやカーボン材のシャフトも普及している。羽は主として鷲(わし)や鷹(たか)の羽が用いられる。また矢は箆の節の位置、太さ、重さ、バランス、羽の模様(これを符(ふ)、文(ふ)、斑(ふ)という)などの条件をそろえた2本を「一手」というが、4本あるいは6本1組として使用する場合が多い。
(3)弓道の(ゆがけ)
弓を引く際右拇指(ぼし)根を保護するために使用する鹿革(しかがわ)材の手袋状の弓具である。歩射におけるはその形状から三つ、四つ、諸(もろゆがけ)に大別できる。またその構造から柔帽子(やわらかぼうし)、堅帽子(かたぼうし)などがある。はその使用目的によって相違するが、的前では三つが正式のものとされている。
[ 執筆者:入江康平 ]
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